Thursday, March 8, 2012

Yoshida

2014年までに100~110円を目指すというシナリオも!

 さて、そのような動きになるとしても、それは米ドル高・円安の始まりに過ぎないと思います。

 最短でも、この米ドル高・円安は来年前半まで続き、その中で90円を超えることになるでしょう。また、これはあくまでも「最短シナリオ」であり、「普通」ならば、米ドル高・円安は2014年まで続いて、100~110円を目指すことになると見ています。

 このように考える理由について、下に示した「資料3」をご覧ください。

資料3


(出所:BloombergよりMarket Editors作成)

 過去20年あまりを調べたところ、対円での米ドル高は、最短でも1年半程度続いており、その中で2割以上も上昇していたのです。平均的には、米ドル高は3年前後続き、3割程度も上昇していたのです。

 もちろん、為替相場というものは、必ずしも「平均シナリオ」どおりに展開するわけではありません。しかし、そもそも、何が「平均シナリオ」なのかがわからないと話にならないはずです。

 まずは「平均シナリオ」を理解し、それを大前提とすることから先行きを予想するということが、基本中の基本だと思います。

■米金利に「予想できないこと」が起こるならば?

 ここまで、私は米ドル高・円安の「基本シナリオ」についてご説明してきました。

 それでは、この「基本シナリオ」が展開する中で、現在ではとても「予想できないこと」が米国の金利に起こるなら、米ドル高・円安は「基本シナリオ」を超える動きになるのではないでしょうか?

 「予想できないこと」が起こるかを「予想する」というのは、言葉としてはまったく矛盾しているものだと思います。

 ただ、過去において、「予想できないこと」が起こった前例は、私たちも確認することができます。

資料4



 「資料4」をご覧ください。たとえば、ITバブル破裂後の米国の金融政策は、当初からはとても「予想できない」大転換に向かいました。ITバブル破裂直後に6%を超えていた「FFレート」(※)は、3年後の2003年には1%まで低下したのです。

 つまり、3年間に5%もの大幅低下となったのですが、このことを事前に予想できた人は皆無に等しいでしょう。

(※編集部注:「FFレート」とはフェデラル・ファンド・レートのこと。米国の政策金利)

■「逆バブル」の破裂なら、2015年に120円の可能性も!

 このように、バブル破裂のような経済局面の大転換期における金融政策には、「予想できないこと」が起こるのです。

 その意味では、足元の局面が行き過ぎた楽観論である「バブル」の正反対で、行き過ぎた悲観論、すなわち「逆バブル」の破裂という局面にあるなら、金融政策において「予想できないこと」が起こることを予想する意味が出てくるでしょう(「こうなると、米ドル/円は『2014年120円』になる!『逆バブル破裂』がキーワード!!」を参照)。

 足元では実質ゼロ金利となっている「FFレート」ですが、3年後に5%を超えているといった予想は、現時点ではほとんどないと思います。

 しかし、今が「逆バブル」の破裂局面ならば、そのような「予想できないこと」が起こる可能性も出てくるのです。

 さて、「FFレート」が5%を超えていた2007年に、米ドルは120円を超えていました。

 2015年に「FFレート」が5%超といった、現時点ではとても「予想できないこと」が起こるならば、米ドル高・円安は過去20年あまりの最長記録を更新し、「史上最長の円安」が展開していることでしょう。そして、2015年に120円が実現する可能性が出てくるかもしれません。

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