Saturday, March 12, 2011

【証券】明日の戦略-巨大地震発生で1カ月半ぶりの安値 来週は10000円の大台を意識か (更新:03/11 17:46)  

【証券】明日の戦略-巨大地震発生で1カ月半ぶりの安値 来週は10000円の大台を意識か

(更新:03/11 17:46)

 11日の東京市場は大幅続落。日経平均は大引けにかけて急落した。全業種下落し、特に鉱業、卸売業、非鉄金属、繊維製品、保険業などが値下がり率上位。その一方で、建設業、精密機器、空運業、不動産業、食料品などが底堅かった。売買代金上位は、トヨタ、ソフトバンク、ホンダ、ファナック、キヤノン、KDDIなど。
 日経平均は朝方の売り一巡後に下げ渋り場面もあったが、大引け間際に三陸沖で大地震が発生したことで、先物主導で急落。安値引けとなった。東証1部の値下がり銘柄数は1459(全体の86.9%)に達し、規模別株価指数はすべて下落。欧米株式相場の急落や中東情勢への警戒感、大地震発生で全面安の様相を呈した。その一方で、震災復興への思惑からゼネコン関連の一角が急騰した。

【来週の見通し】
 軟調な展開になりそうだ。今後の相場を占う意味で注目された、週末の日経平均終値は3月限SQ値(10286円48銭)を割り込み、約1カ月半ぶりの安値に沈んだ。1月末につけた年初来安値(10182円)や心理的な節目の10000円を割り込むと、調整色を強める可能性がある。すでにシンガポール市場や大証のイブニング・セッションでは10000円の大台を割り込む場面もあり、週明けの動向が懸念される。ただ、25日移動平均乖離率が-3%超に達し、相場の過熱感を示す東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は92.96%に低下するなど値ごろ感もあるため、国内外の混乱が収束に向かえば急反発しても不思議ではない。また、期末を意識した権利取りの動きも相場の下支え要因になろう。
 懸念されるのは11日に発生した東北大震災の影響。ライフラインに支障を来たしており、週末でどの程度復旧するのか未知数であることや、今後も大地震が発生する可能性が否定できず警戒される。混乱が続く中東情勢も引き続き注視したい。リビアでは政府軍と反政府軍の抗争が激化し、民主化ドミノはサウジアラビアにまで拡大している。原油価格は週末に弱含んだものの、再び急騰するリスクがあるだけに警戒すべきだろう。また、中国では2月貿易収支が赤字に転落、2月CPIが市場予想よりも強い着地になったことで、従来からの利上げ懸念に加えて、スタグフレーションリスクも意識される可能性がありそうだ。米国では、重要なマクロ指標の発表が相次ぐが、FOMCに注目が集まりそうだ。商品市況の高騰やインフレ圧力の高まりに対して、バーナンキFRB議長は米国のCPIは一時的かつ比較的小幅な上昇に留まるとの見方を示しているが、ECBは4月にも利上げするスタンスを示している。FRBは6月にQE2を終了し、その後の舵取りが注目されているだけに今後の動向を占う意味でも声明文に注目したい。なお、国内でも日銀金融政策決定会合が開催されるが、特に大きな動きはないとみられ影響は限定的となりそう。

【今週を振り返る】
 内憂外患の一週間となった。日経平均は週初に今年3番目の下落を記録し、その後は25日移動平均や2月限SQ値(10561円41銭)などを意識する展開が続いていたが、週末にかけて調整色を強め、1カ月半ぶりの安値に沈んだ。米国株式相場では、中東情勢の緊迫化などを背景に10日にNYダウが今年最大の下落を記録し、1カ月半ぶりに心理的な節目の12000ドル割れ。欧州市場でもスペインの格下げによるソブリンリスクの再燃で、年初来安値圏に沈んだ。中東情勢は、混乱が続くリビアで政府軍と反政府軍の抗争が激化し、サウジでもデモが発生し緊迫化。リビアからの石油輸入が多い欧州地域では、先行きの供給不安から北海ブレントのNY原油に対するプレミアムは10ドル超に拡大した。また、国内では在日外国人による違法献金問題が前原外相と菅首相で発覚したほか、週末に東北大震災が発生したことでマーケットが騒然とした。
 マクロ指標では、9日発表の1月機械受注統計で、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は前月比+4.2%で着地。2カ月連続のプラスで、市場予想(+3.0%)を上回った。外需が前月比+71.4%となり、過去最高の増加幅を記録した。8日発表の2月景気ウオッチャー調査の現状判断DI、7日発表の1月景気動向指数がいずれも大幅なプラスを記録。10-12月期実質GDP改定値は、前期比年率-1.3%と設備投資を主因に速報値(同-1.1%)から下方修正となったが、事前予想通りでサプライズはなかった。中国では、2月貿易統計で、貿易収支が73億ドルの赤字と市場予想(49億ドル程度の黒字)を大幅に下回り、11カ月ぶりの赤字に転落。月単位としては過去7年間で最大の赤字になったことがサプライズを呼んだ。また、2月CPI(消費者物価)は前年比+4.9%と、前月(+4.9%)と同水準だったが、市場予想(+4.8%)をわずかに上回って着地し、利上げ懸念が再燃した。

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