「100年に一度の危機」の引き金を引いた米議会ショック
そして、もう1つの米ドルの「重石」が、米連邦債務上限引き上げ問題であり、いわゆるデッドシーリングの問題です。
これは「100年に一度の危機」に再突入しかねないリスクを抱えた問題だと認識すると、「軽くない石」ではあると思います(「一触即発の円高で介入も!? 日本政府は何を見て介入すべきかを判断している?」を参照)。
「100年に一度の危機」は、2008年9月の「リーマン・ショック」をきっかけに広がったとの理解が基本だと思います。ただ、そのダメ押し役になったのは「米議会ショック」でした。
資料3
「リーマン・ショック」から約半月後、米国の下院議会は「金融救済法(TARP)」の法案をまさかの否決としたのです。
すでに金融危機が広がる中で、さらなる危機回避のために議会は当然合意すると大半の市場関係者は見ていましたが、大いなるサプライズとなったのです。よって、この日のNYダウは700ドルもの急落となりました。
そして、「100年に一度の危機」の拡大は、いよいよ戻らない流れとなったのです。
さて、「さらなる危機回避のために議会は当然合意する」との見方は、今回のデッドシーリング問題も似た構図ではないでしょうか?
まさか、米国がデフォルト(債務不履行)に陥るといった最悪の事態は回避されるだろうと、大半の市場関係者は見ています。
3年前にそのような最悪の決着の前例があっただけに、悪夢を繰り返しかねないとの懸念は、これまた米ドルにとって「軽くない石」になっているのかもしれません。